事実として

久しぶりにあなたのブログを読みました。

相変わらずあなたは苦しそうです。

相変わらず俺にできることは何も無い。

 

あなたと接すると、言葉の無力さを感じます。

言葉を大切にして生きてきた、自分の無力さを感じます。

あなたと話をするようになってから、価値観が揺らぎました。

ぐわんぐわん揺らぎました。

たくさんのことを考えました。

長い間、俺は眠っていたんだと思います。

あなたに両肩を持たれて、ぐわんぐわん揺らされて、目が覚めました。

この世界は、不条理で、不平等だ。

条理なんていうものは、俺の頭の中にしかない。

平等なんていうものは、俺の心の中にしかない。

この世界は、不条理で、不平等だ。

それは、単なる事実として。

 

あなたと話す前までは、俺にできることがあると思っていました。

あなたが生きやすくなるために、俺にできることがあると思っていました。

それが俺の傲慢さでした。

あなたを見下して、自分の能力を高く見ていました。

俺の思い上がりでした。

生きやすくなるって、なんだろう。

そんな力は、俺には無い。

 

事実として、俺に他人を変える力は無い。

事実として、この世界は不条理だ。

事実として、人間の社会は不平等だ。

そんな事実に気づかずに、俺は今まで生きてきた。

でもあなたは、こういう事実を、一つ一つ見つめて生きてきた。

目を逸らさずに、事実を見つめて積み重ねて、自己を形成してきた。

世界を正しく見つめてきたあなたと、言葉を使って自分の頭と心の中に閉じこもってきた俺。

あなたの精神は成熟していて、俺は幼稚。

あなたは裸眼で、俺はバラ色のメガネをかけている。

あなたは事実を知っていて、俺は知らない。

 

事実と認識の差が、あなたは小さく、俺は大きい。

あなたは世界を正しく認識している。

俺は世界を間違って認識している。

あなたは、俺のバラ色のメガネを外してくれました。

今の俺は、事実を事実として、正しく認識できます。

あなたのおかげです。

ありがとう。

 

俺にできることは何も無い。

何も無いということを、今の俺は知っている。

でも俺は、あなたを「助けたい」と思っている。

それは、単なる事実として。